アネビーがめざす
インクルーシブな遊び環境
インクルーシブ・プレイガーデン

今、インクルーシブ社会の実現にむけて大きく動いています。
インクルーシブ社会とは、障害の有無、言語、国籍、年齢、性別にかかわらず、多様な人々が社会のすべての場面で平等に参画できる社会ですが、その目的は2つあります。
一つ目は個人の権利の保障です。障がいや言語等の理由でマイノリティになっている人たちの社会参画を促進し、すべての人々のさまざまな権利を保障します。大人のさまざまな権利ももちろんですが、子どもの遊びも権利なのです。すべての子ども達が遊びにアクセスしやすい環境を提供する必要があります。
二つ目は相互作用による個人と社会の発展です。これまで社会に参画しにくかった人たちが参画したときに多様な人々の特性を活かしあった新たな関係が生まれます。その中で、障害の有無、言語、国籍、年齢、性別にかかわらずすべての人に新たな学びと育ちの機会がおとずれます。多様性によって、お互いが影響しあうやり取りで社会そのものが経済的、文化的に発展していくのです。これは子どもの学びも同じです。同じ境遇の子どもたちの中よりも、多様な境遇の人々の中にいる方が、学びが大きくなるのです。
なぜ、遊びなのか?
アネビーでは子どもたちが、将来のインクルーシブ社会の担い手となるよう、「Play for all」の言葉のもとに、子どもが「初めて多様性を感じる場」として、関わり合いを育む遊び場を提案しています。
遊びは「発達に欠かせないもの」です
遊びは「学びそのもの」です
遊びは「すべての子どもの権利」です
遊びは「すべての子どもの得意なこと」を引き出します
遊びは「関わり合い」を生みます
遊ぶ権利
国連により「子どもの権利条約」が1990年に発効されました。この中で遊びに関する重要な5つの条を紹介します。
第2条:差別の禁止
すべての子どもはみんな同じ権利と等しい価値を持っています。
第6条:生きる権利育つ権利
すべての子は生きる権利と発達する権利を持っています。
第23条:障がいのある子ども
障がいがある子どもも尊厳が守られ社会に参加しながら生活する権利を持っています。
第28条:教育を受ける権利
子どもは教育を受ける権利を持っています
第31条:休み、遊ぶ権利
子どもは休んだり遊ぶ権利を持っています
アネビーがめざすインクルーシブな遊び環境
私たちが一番大切にしているのは、すべての子ども達に楽しくて愉快な体験を作り出すことです。
バリアフリーな遊び場は、からだや知的に障がいがある子や難病の子などを対象に作られています。その反面、普通の子にとっては挑戦度が低く一緒に遊ぶ気持ちが起きにくいかもしれません。
しかしインクルーシブな遊び場は、それ以外にも、言語や国籍、宗教に違いのある子、年齢が違う子、性別、時には大人や高齢者、そして「普通の子」や「得意なことが多い子」も対象になるのです。
その遊び場の遊具は、からだを大きく使う賑やかで活発なものから、静かで落ち着いたもの、感覚的なものや創造的なものまで幅広い要素を考えながらデザインされています。遊ぶことが難しい遊具もあるかもしれませんが、逆に得意な遊びも必ず見つけることができる。その得意をお互いが認めあうことができる遊び場がいちばんです。
遊びには他者との関わりがたくさんあります。その関わりが「多様性を持つ友達」とのものであれば、その子にとってのかけがえのない育ちの瞬間です。
遊びには息を合わせ、共に笑い合う瞬間が多く生まれます。
子ども達は違いを理解してから共存するのではなく、同じ瞬間を楽しむことで自然に一緒に過ごしていくのです。アネビーは、みんなが「同じ瞬間に楽しい」と感じることができる『インクル遊具™』の環境の普及をめざしています。
インクルーシブ環境のつくり方
大切なこと
1.必ずしもすべての遊具がバリアフリーではない
大切なのは、多様な子たちが同じ場所に集い、そこにかかわり合いが生まれることです。それぞれの子どもにとって楽しいと感じる遊びは異なります。すべての遊具をバリアフリーにすると、一部の子ども達『専用』と感じられ、それ以外の子どもが自分に合った遊びを見つけにくくなることがあります。
2.もちろんバリアフリーの遊具も配置する
インクルーシブの考え方では、障がいのある子どもも多様性の一部として捉えます、なのでバリアフリーな「寝たまま乗ることができるスウィング」や「スロープ付き」の複合遊具もあることで、より多くの子どもが楽しめます。
3.からだを使わない遊び場も確保する
子どもによっては、遊具での『動き』を必要以上に怖いと感じることあります。
そうした感覚に敏感な子どもも遊ぶことができるように、隠れ家や一人遊びの要素なども用意しましょう。
4.過度な配慮のアピールは不要です
子どもが自分の能力と向き合って挑戦するのが遊び、特定の子ども専用といった考え方はありません。多様な子が遊べるしかけは必要ですが、その配慮をアピールしすぎると、結果「いっしょに過ごす空間」ができずに逆効果になってしまいます。
5.公園などの公共空間では、言語や国籍、肌の色、宗教の違いにも配慮された環境をつくります
多言語表示や、文字に頼らないピクトグラムの活用が効果的です。遊具のデザインにおいても、民族や宗教などに関する差別的要素が含まれていないか配慮することが重要です。
6.大人や高齢者も一緒に過ごせる工夫も必要です
ベンチやテーブルには、車いす対応のものもあります。休憩スペースを工夫することで、高齢者や車いすを利用する大人も快適に過ごせる環境をつくれます。また、大人は見守るだけの存在ではなく、一緒に遊べる遊具を用意することも大切です。
遊び場事例
「Play for all」は、保育・幼児教育向け、公園向け、公共の遊び場向けなど、さまざまなインクルーシブな遊び環境に対応しています。
私たちは、単に楽しい遊具を提供するだけでなく、子どもたちが身体的、社会的、認知的、発想力や表現力の成長をサポートすることを目指しています。私たちのデザインは、すべての年齢、性別、能力に対応しており、誰もが遊びの楽しさを体験できるよう工夫しています。