発達に必要な5つの感覚
アネビーが考える大切な5つの感覚「新五感」
人間には、よく知られた「五感」の他にも10種類以上の感覚があります。
その中でも将来の学習や社会性の基盤になる大切な5つの感覚をアネビーでは「新五感」 と呼んでいます。
新五感を知ることは定型発達はもちろん、感覚にトラブルがある子どもの気になる行動を理解するためにも大切です。
子どもは感覚の発達と発達した感覚の相互作用で成長する
下の図は、感覚の刺激から始まる子どもの発達のプロセスです。生まれたときはいちばん下の段で、月齢による差はありますが、遊びや生活を通して上の段へと進んでいきます。触ったり、さまざまなからだの動きをすることで、感覚器は情報を吸収します。その情報が脳で適切に処理され、さらに、違う感覚器から吸収された情報と交じり合い「相互作用」が始まります。その「相互作用」のことを「感覚統合」といいます。つまり、「感覚統合」とは「バランス覚」「ボディ覚」「タッチ覚」「視覚」「聴覚」の感覚同士が相互に作用しあうことでバランスよく発達し、その後の発達に大きく影響していくと考えられています。
- 【参考】
- 「Sensory Integration and the Child」著:Anna Jean Ayres(1979)
「子どもの発達と感覚統合」訳:佐藤 剛(1982) 発行:協同医書出版社
子ども達は遊びながら、たくさんの感覚を育てています
夢中になって遊ぶ子ども達は、さまざまな道具に挑戦することで、たくさんの感覚を学び、育てています。バランス覚でからだの倒れ方を察知し、ボディ覚で転ばないように足を踏ん張るなど互いの感覚が協力し合い、統合することによって遊びのスキルが向上していくのです。だからこそ考えうる最大限の「遊び環境」を用意することが、子ども達の成長の糧をつくるために必要なのです。
新五感の中で特に大切な「BBT」
地球と仲良くなる感覚バランス覚
バランス覚(前庭覚)は、からだの傾きや揺れ、加速、回転などを感じる感覚です。重力に対して垂直を感じることで、自分のからだの基本となる「軸」を作り上げます。この基本の軸ができることで、立ったり座ったりした時の姿勢が安定し、転ばずに歩いたり走ったりできるようになります。視覚と相互作用して、距離や大きさ、広さなどの空間(視知覚)をつくりあげます。
また、覚醒と関わりがあり、眠い時やボーっとしているときにバランス覚を刺激する活動をすると脳が活発になります。
バランス覚における凸凹
びん感
-
- 遊具がにがて
- 小さな段差も怖がる
- プールや水遊びがにがて
- エスカレーターに乗れない
どん感
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- くるくる回り続ける
- 落ち着きなく走り回る
- ブランコや滑り台を何度もやりつづける
- 危険を考えずに高いところに登る
- 姿勢が悪い
- 乗り物酔いをしない
- なかなかやる気が出ない
自分で自分を感じるボディ覚
ボディ覚(固有覚)は、自分の手足がどうなっているのかや、力をどれくらい入れているのかを感じる感覚です。背中でエプロンのひもが結べる、持つだけでコップの中の水の量がだいたいわかるといったことも、この感覚のおかげです。
タッチ覚やバランス覚と相互作用してボディイメージや身体図式、思った通りにからだを動かす運動企画などの要素をつくります。
姿勢を保つためには、全身の筋肉を適度に張っている状態にすること(緊張張)が重要です。 ボディ覚はこの緊張張にも重要な役割を果たしています。
ボディ覚における凸凹
びん感
-
- 遊具がにがて
- 不意に揺さぶられるのがにがて
どん感
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- 力加減ができないため乱暴と思われる
- 不器用
- 人や物に良くぶつかる
- よく踏み外す
- 着替えに時間がかかる
- よくこぼす
- お遊戯や手遊びがにがて
自分と自分以外の境界線の間隔タッチ覚
タッチ覚(触覚)は、皮膚にふれた物を感じる感覚です。ふれた物の硬さや感触、温度、ふれた時の力加減や痛みを感じます。
痛みや熱いものにふれた時の反射にかかわるなど、危険回避にも役立っています。顔や指先など感じやすさに差はありますが、全身の皮膚に存在し、自分のからだの境界線を感じさせることでボディイメージ(身体図式)を作り上げます。
抱っこされたり、柔らかい布にくるまれたりするとリラックスするように、情緒の安定にも大きく関係しています。
タッチ覚における凸凹
びん感
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- 砂遊びなど特定の感触がにがて
- よくけんかをする
- 抱っこを嫌がる
- 決まった洋服しか着ない
- 歯磨きや耳掃除がにがて
どん感
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- 痛みを感じにくく、危険な遊びを好む
- 出しっぱなしの水道で遊ぶ
- 必要以上に友だちにべたつく